高齢者向けキッチンリフォームの注意点

50代、60代がキッチンリフォームをするときは、老後のことを考えなくてはいけません。

水回りのなかでもキッチンは毎日使う場所。使いやすい工夫をすれば、食事の準備もはかどります。しかし、身体の機能が低下しつつある高齢世代になるとキッチンには危険となる場所や「使いづらい」と感じる点が増えてきます。

毎日使う場所だからこそ、高齢者がキッチンリフォームをするなら「安全面」と「使いやすさ」を重視した工夫が必要になります。

◎コンロの消し忘れが不安なら機能充実の加熱機器を選ぶ

調理中に鍋を放置して来客対応するなど、火を消し忘れるのが不安という高齢の方も多いでしょう。そんなケースが増えている最近は、ひと昔まえのコンロと違い、消し忘れのときに自動で消化してくれる機能がついているガスコンロも見られるようになってきました。ただ、ガスコンロだと「火」が出るため、袖口に引火して火傷をするリスクは常にありますよね。

そこで、安全に配慮してIHクッキングヒーターの導入を検討する人も増えてきています。IHは火を使わないものの、電気の高温の熱を使っての調理のため、火傷のリスクはゼロではありません。しかし、ガスコンロと比較すると、衣類や周囲のものに引火するリスクが少なく、高齢者向けと言えるかもしれませんね。

◎高齢者でも使いやすい!シンクの高さは低めにリフォーム

年齢を重ねると、背骨の変化と筋力の弱まりから身長が縮んできます。そのため、キッチンが高く感じられ、調理中の体勢が辛いこともあるようです。各メーカーからラインナップされているシステムキッチンは、高さも選べます。無理のない高さのキッチンで調理できるようにしましょう。また、高齢者向けのキッチンとして、椅子に座って調理できるタイプもあります。

◎高い位置の収納棚は避ける

キッチンには、調理器具や食器を保管するための収納棚が欠かせません。ただ、目線の高さ以上に収納があると、高齢者にはリスクがあります。高い場所の収納棚からは、手を伸ばして食器を取るのも一苦労。場合によっては、踏み台を使って食器の出し入れをするかもしれません。ただ、平衡感覚が衰えがちな高齢者にとっては危険なことです。

キッチン上部に吊戸棚を設ける場合、踏み台を使わなくても済む電動昇降タイプを選べばケガのリスクを減らすことができます。

◎滑りやすい床は転倒の恐れも…!

水や油の飛び散りによって周囲の床が汚れてしまいがちなキッチンでは、滑りやすい床は大変危険です。特に、年齢を重ねて足腰が弱くなった高齢者には転倒しやすいもの。滑りにくい床材へのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。安全面に配慮するのはもちろんですが、掃除がしやすい素材を選ぶといいでしょう。水をこぼしてしまうことを考えれば、クッションフロアなど掃除が簡単な素材がおすすめです。

また、クッションフロアは万が一転倒しても柔らかめの素材なので、硬いフローリングよりは安心感がありますね。

◎キッチンは独立させずにリビングと一体化

キッチンには、キッチンがひとつの部屋になっている「独立型」、キッチンがリビングやダイニングと一緒の部屋にある「オープン型」などがあります。独立したスタイルだと、調理後に他の部屋まで料理を運ぶ必要があり家事動線が長くなってしまいます。段差があると、移動時に転倒してしまうリスクもあります。

そこで、高齢者にはキッチン・ダイニング・リビングをひとつの部屋にまとめるのがおすすめのリフォームです。同じ部屋にあれば、家族とのコミュニケーションをとりながら家事もでき安心感があります。

◎広いキッチンで作業のしやすさを手に入れる

キッチンの作業台が狭いと調理器具が置きづらくなります。狭いスペースは、高齢者に限らず作業がしにくい場所です。また、調理中には鍋、フライパン、食器、まな板など、数多くの調理器具を使用します。床に落とせば、ケガの危険もありますよね。

高齢者のキッチンリフォームのときには、作業スペースを広めにすれば、快適な作業のしやすさが手に入れられます。